機微 的个人资料そのひぐらし――雲に隠れ霞を食む――機微の巣窟。日志列表网络 工具 帮助

日志


2007/4/11

熱が出てる熱が。さんじゅうくど。

ちょっとSS更新しようと思って気張ってみたんですが駄目そうなので敗北宣言。
福岡来てなんか気分悪いなぁと思ってびょーいん行ったら問診している間に看護婦のおねぇさんの顔がだんだん曇っていって気がついたら鼻になんかめっさ差し込まれたんですよ。
もうなんか嫁入りとか婿入りとかそんなレベルじゃなかったねあの痛さは。女性は偉大だ。
と言うわけでインフルエンザプラス(陽性)でしたので、しばし学業もバイトも書き物も少しだけお休みします。筋トレもたぶん休みます。フンフンフンッ。法定伝染病ってエロイ!もといエライ!まぁといっても一週間くらい。健康でもそれでいくつSSがあがるか疑問ではありますが。書き終わってるのがあるにはありますけども推敲しないと前回の蔵SSみたいに意味不明になるのでむりれす。オヤシロ様は見てるからこられた方にはだまし討ちみたいで申し訳ありません。でも一話はあるのでかんべんしてくらさい。そいでわ。健康は大事だ。健康な人は健康について考える事はないらしいですよおくさん。そ、そいでわ。き、きくこが5にんにみえゆ。あっちょんぶりけ
 
2007/4/7

バトンが、なんか回ってきたんです。

 
 
うん、なんかバトン回ってきたみたいだね。かなり昔だけど答えますよ。
機微さんは自称シャイボーイなのですが、普段から初対面の人に「機微さんって変態なんでしょ?」とか「ほら、見ててやるからネタやれよカス、むしろチンカス」とか罵倒されてます。
それに耐え切れず、むせび泣いた回数は数知れません。
ちょ、ちょっと、なによ、う、うれし泣きじゃないんだからねっ
つまり、バトンに答えちゃったりすることで、おじさんについて知ってもらえるのは、非常に有益だと思うかな、かな。
それじゃあいくぜ。
 
■このバトンは「困ったな」がコンセプトです!
 そしてそんな困った問いにセリフで回答しなさい。
 ※この説明は絶対載せること

■まずは回してくれた管理人様にご挨拶!礼儀だぜ
ばにっしゃあさん、こんばんは。生きてますか?あ、死んでても別に嬉しいカナー。
ばにさんが偉い人なのは皆知ってるので、ペーペーの機微さんはこういうところでしか対抗できません。
好きです。

■ある日森の中で友好的なクマに会ったあなた
あ、智代じゃん。おせぇって。
おじさんもう10時間くらい待って・・・・・・あれ?なんかおかしくね?
・・・・・!
ちょwwwおまwwwマジ熊wwww

■朝起きたら全裸だった
今日も日常は日常として過ぎていく、か。
(機微さんは寝るときはいつも全裸です

■トイレに行ったら好きなあのキャラが気張っている所だった!
ちょ、秋葉様とか智代とかことみとか翡翠とか琥珀さんとかレンちゃんとかみおんwとか沙都子はトイレ使いませんッ
性欲もありませんッ
・・・・・・・・・変身とか、する?(ワクテカ

■角に足の小指を打ったところを見られて鼻で笑われた
あははーちょ、ちょーっと痛いかな~?
う、うーん、平気平気。機微さんは強い子~住人さんがいなくても大丈夫!にははっ。
・・・・・・・・・・・・・うわなんか血とかでてね?でてね!?これやべぇYOマジやべぇYO!!
あっーーー。
べ、べつに悔しくなんかないんだからっ

■ある日道で「僕の携帯と君の携帯を交換しませんか?」
・・・分割思考、開始。
『ウホッ(ry』
『今日は暑いね、白装束をかぶってこればよかった』
『ちょ、兄さん! 何度言ったら分かるんですかッ』
『ウホッ(ry』
『あ、リアディゾン』
『・・・熱い、非常に熱いな今日は。どれ、エビフライでも食べてみようか』
『んだこいつこのうんこヘタレ』
『喝ッ』
『一成か!!』
『僧侶か!!』
『ちょwwww最近そればっかwwww』
 
■くじ引きで選んだくじをそれでいいかな?と言われた
それもよこせ。
早く!・・・・ハァーリィイイウァアアアップッ!!(裏声で

■バトンはノンストップ! これを止めてしまったら回してくれた人に失礼に値するぞ! そこで大好きな10人をチョイスだ
・JPKさん ・焔 ・ヴィシルさん ・海老さん ・日向さん ・shigeさん ・滄海さん ・ぶらんでんぶるぐさん ・ちちさん ・もーさん (並んでいる順番に、意味はありません)
 
ホントは機微さんこういうの嫌いなんだ。
日記のネタがない人は使ってみてね、と言うことです。
 
もういっちょ。

[ ミュウバトン ]

・バトンが回って来たら次に書く日記の語尾はすべて「ですの」にするですの。

・他の人のことはみんな「(〇〇〇)ご主人様」にするですの

・一人称は必ず「ボク」「ミュウ」にするですの。

・日記の内容自体は普段書くようなものでかまわないですの。

・日記の最後にバトンを回す5匹のチーグルの名前を記入するのを忘れないでの。

・既にやったことがある人でも回されたら何度でもやーるーでーすーのー。

 

ヴィシルご主人様から回ってきたんですの。ヴィシルご主人様は、い、いつもボクのこと責める激しい人、ですの。
お仕置きはほどほどに、ですの。あっーーー体が熱く、ですの。
素朴な疑問なんですけど、ご主人様、チーグルってなんなんですの?
ボクまじわかんなーいってゆーの?つーかマジマジわかんないことには沈黙せねばならないんですの。
 
ボクは五年日記2冊目突入なので、本当はこっちに書く事なんかないんですの。
でも書くの。
ボクは今日、福岡に来る前に買った本を読み漁ってたんですの。フロムアマゾンですの。オリエンテーションは半分聞いてたんですの。
読んだのは、『武士道』、『国家の品格』、『陰摩羅鬼の瑕』、『ハーレムキャラバン』ですの。
京極堂シリーズは、前から読みたくてたまらなかったんですの。昨日は『塗仏の宴』の支度と始末をむさぼり読んでましたの。
『絡新婦の理』以来封印してたので、よだれが止まらなかったんですの。
そういえば、前期試験が福岡であったので、その帰りに天神くらいでめっさ買いこんで、ビニール袋が破けたのも今となってはいい思い出なんですの。
 
「プッ」 「ダサッ」 「ちょwwおまwww」
 
とか、ものすごく心に刺さったんですの。言葉は心に刺さりよるけんね、みんな気をつけんといかんばい、ですの。
相変わらず、京極のご主人様は、素晴らしいですの。こんなに長いのに短編読んだ後みたいな読後感ですの。
法悦、ですの。時間がある方は、是非、読んでみてくださいですの。いわゆるミステリですの。
世界史とか日本史の概説書よりも難しいところがあるので、そこは軽く読み飛ばすのが吉ですの。
京極堂シリーズは片手で持って読むともれなく筋肉がつく、二倍お得な本ですの。
あ、このシリーズは、奈須きのこご主人様の『空の境界』を読んだ後に読むのが吉だと思うんですの。
ボクみたいに『空の境界』を後から読むと、半笑いが止まらなくなると思うんですの。
いえ、奈須きのこご主人様は神ですけど、ですの。
 
『武士道』は、是非読めと言われていやいやながら読んだんですけど、よくかかれてるなぁと思いましたんですの。
日本人として、まだ読んでいなかったことを恥じるんですの。
これからの人生の指針の一つになればいいかも、と思いましたんですの。二回以上読む価値ありますですの。
何しろ引用が素晴らしいんですの。
西欧圏の人々の精神体系と武士道に拠る日本人の精神体系とを比較して分かりやすく書こうとする意識が非常に高くて驚きですの。
日本語圏以外の、特に西欧の方が読んだら、驚愕すると思うんですの。非常に博識ですの。実際したみたいですの。
それから、コレの底本が英語で書かれていて、書いた人が日本人って言うのが凄く印象的でしたの。でもこれって常識だと思うんですの。
この本は、書かれていることに賛成するにせよ反対するにせよ、多くの人に、特に若い人に読んでほしいと思いましたんですの。
本には政治とかでは変えられないことが変えられるのかもしれないと、ふと思ったんですの。
 
『国家の品格』も、読まないと日本人じゃないと言われて読みましたんですの。
こちらも面白かったんですけど、武士道の後に読むと、非常に気が楽でしたの。ボクは似非でも武士道を知ってるチーグルなので、ですの。
軽妙な語り口で、非常に分かりやすい説明が印象的でしたの。
最初は、著者が、悪い意味での国粋主義者といわれても仕方がないと思って読んでいたんですけど、ですの。
考えさせられる内容でしたの。この本読んだ後にこんな日記書いていると罪悪感にさいなまれますですの。
そういえば、ボクも、以前友人のご主人様と議論していたときに、イジメ問題の解決法として『カウンセラー置けばいいんじゃね?』とか言ってたので、読んでいて恥ずかしくなりましたんですの。
自分なりの考えは練ったつもりでしたけど、そこが浅かったのかなと、思わされたんですの。
現代の日本に色々と疑問を持っている方は、是非ご一読を、ですの。
ただし、異文化を理解しようという気概は、非常に大事だと心に留めなくてはならないんですの。
大事なことは大事ですの。
 
『ハーレムキャラバン』は、普通のエロ小説ですの。18禁SSを書くための語彙拾い計画の一環で読みましたんですの。
お姉さま好きで、若干責められ、責め返すパターンが好きな人にはたまらないんじゃないかなと愚考するしだいですの。
竹内けん、と言う方が作者なんですが、この方の小説は、読後感が清涼ですの。
世界観がきっちり構成されている(あくまでもエロ小説界での相対的評価ですの)『ハーレム~』シリーズの内の一作ですの。
ハーレム→非現実的、と言うのが市井での大方の意見であると思うんですが、この方の小説だと、あまり違和感がありませんですの。
言い換えると、ハーレムになってもおかしくないような世界観をきっちり書ける方が作者である、と言うことですの。
語彙も豊富で、少し感心してしまったりするボクは、やっぱりエロはエロだしなぁ、と言うスタンスが未だに残っているんですの。反省ですの。
少し、原義からずれたような使用法があると、ほら見ろ馬脚だなどと思うのは失礼だと思うんですの。ボクのことですの。
寂しくなった夜に、おねぇさま好き、ハーレム好きの方はご一読の価値ありですの。
 
さて、明日はSS二つはあがると思うですの。
チーグル選択ですの。
 
・ヴィシルご主人様 ・村人α(あかさ)ご主人様 ・Kご主人様 ・ばにっしゃあご主人様 ・ネオグランご主人様
 
ファイトッですの。

『愛は惜しみなく与う』第9章

 
 
「にぃちゃん何やってんのさ、いやそろそろマジで」
「え、鷹文君、今までは冗談で聞いてたんですか?」

素で聞き返しているのであろう芽衣には、しかし怒りが沸くことはない。鷹文はアレな年頃なので。
それでも無意識に髪をかきあげたウブな少年は、困惑のため息を吐いた。
その鷹文の傍らに立っていた芽衣は、心配そうに朋也の顔を覗き込んでいる。

暖かい日差しは、窓を貫いて室内に広がりはじめていた。
そろそろ朝を過ぎようという時間帯であった。

朋也の部屋にたどり着いた鷹文と芽衣が、鍵の開いていた玄関を数瞬の躊躇の後に押し開けたのは、どうやら正解だったらしい。
狭いが、綺麗に片付けられた畳間―――男の一人暮らしでコレは殆どありえない―――の向こうに、朋也が膝を抱えてブツブツと呟いていたからだ。
そして、この部屋に居る筈の鷹文の姉である智代の姿は見えない。
ぬいぐるみの熊は四隅にいるが、むしろ不気味である。
思えば智代と朋也が、部屋に散乱していたエロ本が元で大喧嘩をしたのは、つい先週のことである。
すわ警察か、と鷹文が駆け出そうとしたそのとき。

「………智代が洗面所に逃げたんだよ」

自意識に浸っていたのであろう朋也が、アンニュイな表情で、もたれていた洗面所への扉を親指で指し示した。

「はぁ?」
「た、鷹文君ッ…か、帰りましょうッ」
「ま、待ってよ芽衣さん。それだとどんなプレイしてんだよにぃちゃん達は……」
「しゅ、しゅ……知りませんッ」
「つーか耳の中がかゆくてたまらん」
「全然ワケわかんないから」

とにかく、ここにいるんでしょ?と呟いて、朋也の左尻に軽く右足で足払い(尻払い)をかけた鷹文が洗面所へと続く扉をガラッと開いた。

「ねぇちゃん、なにやって…………」

やはり綺麗に片付けられていた狭いながらも清潔な洗面所は、扉を開けると正面に鏡が見える、はずであった。
鷹文は何度となくこの部屋に通っているので、当然その仕組みは知っているし、今回も自分の顔が出迎えるはずだと思っていた。
しかし、今日この日、それは現実のものとはならなかった。
鏡に向かって唇を突き出し、あまつさえ両頬を紅く染めた坂上智代が、そっと閉じた瞼の向こうに描いた誰かに、口付けをしようと試みていたからだ。

「はぅ…やはり目を閉じてしまうぞ……ん?……………た、鷹文……?」
「お邪魔しましたー」

もうホント、おバカ。
 
 
 

    愛は惜しみなく与う
    第9章 ―お休みの日~昼から夜へ~―
 
 
 
成長している、と言うことはどういうことか。
乾いたタオルで顔を拭いている間、智代はそればかり考えていた。
要するに、魅力が溢れんばかりになると言うことではなかろうか。ムチムチのパツンパツン。…ムッハー!
いやいやいや。
多少シリアスになってしまった自分を振り切るために、何とか考えていることを楽観視できる方面に引き摺ってでも持って行きたい。
その形で思考を切り替えることにする。
 
手に持っているタオルを脱衣籠に放り込んでから、鏡に向き合って自分の顔を見てみる。
少しは優しい顔になったか、と言うのが第一印象である。
角度をつけて鏡を覗き込みがなら、自身の髪をそっとつまんでみる。
 
いつもの癖で、枝毛を探しながら鏡の嵌め込まれている壁にかかっている櫛を取り外す。
目を閉じ、つまんだ髪の束に、櫛を通していく。―――す、と通る。
幾度かそれを繰り返しながら、再び鏡の中の自分を見つめる。……たぶん、そんなに悪い顔ではあるまい。
そんな事を考えていると、く、と櫛が髪の束の中ほどで止まる。
昔なら―――荒れていた頃ならば、無造作にぐいと通していたが、最近はそんなことはない。
……教えてくれたのは誰だっただろうか。
脳裏に朋也の照れた顔を、そして彼と自分との楽しかった思い出を引き伸ばしていく。
そうすると櫛は、さらりと、通った。
不思議だけど、それはそうなるものなのだと誰かから聞いた。その時の話の内容だけは覚えている。

智代ちゃん、いい?
うん、聞いてるよ。
そう。いい?おぐしはね、優しく、優しく梳くのよ。髪は女の子の宝物だから、絶対に力で扱ってはいけませんよ。
うーん……途中で引っかかるよ。
かかってしまったら、大好きな男の子の事を―――思いながらやってごらんなさいな。きっと軽く通りますよ。
―――さんは、―――さんの事を考えて、いつもおぐしを整えているの?
……そう、ねぇ。
わぁ、すごい、本当だ!
あら、誰のことを考えたのかしら。
―――さんと同じ!―――さんの事だよっ今日も早くお仕事から帰ってくるといいなって。それから、鷹文の事。
あら、そう。よかったわねぇ。

虫食いだらけの記憶をそっと拾いながら、髪を整え終えた。
 
そうしてまた考え始める。
おそらく、と言うよりは確実に、自分の傍から朋也が居なくなってしまったら楽しく生きていくことなど不可能だろう。
まだ世界の半分も見ていないが、その事実と同じくらい、そう確信して認識できるのだ。
今以上に仲良くなれるのならなんだってしよう。いつまでも傍にいられるのならどんなところで生きたっていい。
傍にいて笑って、一緒に話して、私の作ったご飯を食べて。それ以上の贅沢なんていわない。それで幸せなんだと思う。
 
―――もう、私の髪一本まで、朋也のモノなのだから。
 
だから、朋也が自分を嫌いになってしまったら嫌だ。
そう思っていることを表に出しすぎるのも憚られる、しかしそう思っているのは事実なのだから仕方がない。

有体に言ってしまえば、朋也となら、肌を重ねてもいいと思う。
仲良くなる、と言うのは、そういうことなのではないのだろうか。
しかし、心のどこかでそれを否定している自分もいる。

私が私だから朋也は手を伸ばしたのか。
私が私だから朋也は手を引いたのか。
よく、分からなかった。

ぶんぶんと頭を振って、頬をぴしゃりとたたいた。
たぶん今日の出来事は、自分が驚きすぎたのがいけなかったのだ。だから朋也は気を使ってしまった。
それならば、驚かないように訓練すればよい。ちょうど目の前には鏡があるのだし。
昔、何かの雑誌で鏡を使って口付けの練習をするというような話を読んだような記憶がある。
それを今試すときなのだ。まずは、目を閉じると怖いから、開けたまま出来る様にならなくては。
 
何事も精進あるのみ。未知なる所に道生ず。
すぅと息を吸い込んで、鏡に向かった。
 
一度目、失敗。瞼を閉じてしまう。
……人間は何度成功したかではなく、何度立ち直ったかで決まる。
 
二度目、失敗。涙目になってしまう。
もう一度。馬鹿みたいに紅くなった顔で、自分が近づいてくる。
瞬間。
瞼を、閉じてしまう。
と言うか目を開けたまましたらやばくね?そんな声が脳裏に響く。

「ねぇちゃん、なにやって…………」
「はぅ…やはり目を閉じてしまうぞ……ん?……………た、鷹文……?」

瞼を押し上げた。
すると鏡の中、私の後ろには何故か弟が立っていた。
そして畳間で寝転がっていた筈の朋也は、呆れた顔をした鷹文の頭を小突こうと、その背後で拳を振りかざしていた。
半笑いの顔に、微妙に蔑んだ表情をブレンドしつつ、鷹文は扉を閉めようとする。
小ばかにした台詞を残しつつ。その間私は放心していた。

「お邪魔しましたー」

ゴツンッ

「いってぇえええええッ何してんのさにぃちゃん!!」
「天誅」

もうホント、おバカ。
 
―――――――――――
 

「と、智代頼むからもう少し優しくかいてくれ」
「あ、ああ。すまない朋也……コレくらいではどうだ?」
「おお、うん。ちょうどいいかも………」
「そ、そうか、良かった」
「智代サイコー」
「こらこら、ゴロゴロするんじゃない…………………刺すぞ」
「わ、悪かった」
「うん。分かればいいんだ」

いささかぎこちなくではあるが、朋也の待ち望んでいた至福の時間がボロアパートにも訪れていた。
幸せは時も場所も選ばない、のかもしれない。それが訪れるのは、必然でもあり偶然でもあるのでした。
 
朋也と智代が煮つまった脳みそのままで一つ屋根の下に対峙すると言う状況は、訪れ得なかったのだ。
少なくとも今日という日には。
 
拍子抜け―――というよりは気が抜けたと感じた朋也は、照れ隠しもあいまって、ぶっきらぼうにではあるが、再び耳掃除を智代に頼んだのだった。
こちらも動揺していた智代には、当然異存はなく、ささっと畳間に正座をして耳かきを手に持ち、ほら覚悟を決めて早く寝ろ、と男気溢れるお言葉をかけた。
オシドリの巣に迷い込んだ、まるで僕等はアヒルだねぇガァガァ!などと呟きながら立ち竦む鷹文と、はわわわと繰り返す芽衣の視線など、あって無きが如しである。
そして今に至ると言うわけである。
 
他人に耳の穴を覗かれるというのは、思っていたよりこそばゆいものであったが、朋也はそれでも満足していた。
心を決めてしまえば、なんと言うこともない、心地よいだけの素晴らしい事であるからだ。
古臭い畳のにおいも、今日はどこか優しい気がする。
ふはーと幸せの溜息を吐きつつ、左頬に触れている、思いのほか弾力がある智代の太ももの感触を味わっていた。
初めは頬を染めながらも注意をした智代だったが、次第に耳垢を取る事に集中し始め、ついには何も言わなくなった。
ちなみに、さり気なく右手を太ももに這わせている事に他意はない。他意ってなんだ。
そんな風に触れていても、集中しているのであろう智代は無反応。生きてるって素晴らしい。
朋也はもう、ヨカヨカ!と殿様気分である。

「うわー……すっごい!ですね」
「芽衣さんアーケードゲームとかすんの?」
「あーけーど、なんですか?」
「気のせいか…なんでもないよ」

朋也のアパートに常備されている安っぽいちゃぶ台に、鷹文と向かい合って座っている芽衣が、チラリとその二人の行為を見てさり気なく鷹文に耳打ちする。
その頬はほんのりと赤く、こちらの少女もウブである事を知らせるものであった。
先ほどからチラチラと視線も散りがちである。
そんな芽衣に詰まらなさそうに相槌を打つ鷹文は、それほど興味を引かれるわけでもないといった体である。
最初の精神的ブラクラっぽいダメージは厳しかったが、何とか踏みとどまった様だ。頭は痛いが。
芽衣が傍にいるというのが大きかったのだろうか。
あるいは、普段から先ほどの姉の珍態と比しても、さほど劣らぬ行動を見せられ続けてきたのが原因かもしれない。
しかし良くもまぁここまでいちゃいちゃ出来るものだという気持ちは、いささかも変わることがない。頭の痛みも。

そんな事を考えがなら、鷹文は芽衣の世界史のノートを貸してもらい、せっせと該当箇所を精読していた。
ぽっと抜けているようでいて、芽衣は意外にしっかりした子であるようで、プリントを写させてくれと頼み込んだ鷹文は叱られてしまったのだ。
そのノートはしっかりとまとめられており、使いかっては非常に良かった。
目がちかちかするような多彩色ではなく、ポイントを抑えた記述でまとめられており、かつ先生が口頭で仰った様なナルホド情報も豊富に書き付けられていた。
既に、12個あった解答欄は正答であるだろう解答でほぼ埋められ、残るはラスト一問のみである。
……流石にアウストラロピテクスが5回も出てくると言うことはない。
芽衣は寮での勉強中に残してしまった数学のプリントに鉛筆を走らせていた。
時々ピタリと止まってしまうが、今度はあまり考え込むことはない。分からない問題は鷹文に教えてもらおうという魂胆である。

開け放った窓からは、時折思い出したように、涼しく透明な風が吹いてくる。
部屋に満ちる音を生むのは、翻る白いカーテンと、カリカリと走る鉛筆、満足そうな朋也のみだった。

そろそろおさわりにも飽きてきた朋也は、欠伸をして、右手をそのあたりに置いてある書籍に伸ばす。
一冊目、『ツァラトゥストラはかく語りき』逆立ちしたって普通の高校生や社会人には面白くないだろう。
二冊目、『Hell for idol』暗記するくらい読んだ中身は日本語のエロ小説である。膝枕されているときに読んだら殺されるだろう。
三冊目、『倫理』こちらは教科書である。仕方なくそれを開いて一ページ目からめくっていく。

「ふぁ……智代コロンかえた?」

再びあくびをする朋也。
流石に質問されたときには答える。智代はその手を止めて、口を開いた。

「馬鹿。変なタイミングで聞くんじゃない」
「いやほらそんなに嗅ぐ事ないじゃん」
「た、頼むから嗅ぐとか言わないでくれ。……確かに変えたぞ。それがどうかしたのか」
「こっちのほうが好きかも」
「そ、そうか、嬉しいぞ。……どれ、そろそろ反対側をやってもいいか」
「うい」

反対側を向く朋也。その途中で鷹文と目があう。
ゲェーと言うジェスチャーをして見せた鷹文だったが、手話でなにやら伝えてくる。
分からなかったので、首を横に振ってみせる。すると鷹文は、手元にあった紙にささっと何かを書き付けて掲げた。

「ええと、ケッどうせ安モンだろ?……よし!俺がもう少し高い奴を買ってやろう!…と」
「えっ本当か朋也?…そ、その、なんだ、朋也と一緒に選べたら、うん。凄くいい物が買えると思う、ぞ…うん」
「ぶっ……わーったよ。坊主、覚えてろよお前。……いつ行く?今日はちょっとゆっくりしたいんだけど」
「うん、来週の休みはどうだ?多分空いていると思うんだ」
「んじゃ日曜にでも行くか」
「うん!」

至福の時間は雌伏の時間でもあったのだ。
願ってもない復讐の機会を得た鷹文は、満足げである。そんな鷹文を、芽衣は微笑みながら見ていた。
そして静かに話しかけてくる。

「鷹文君って、優しいんですね」
「そ、そうかな。そんなことないよ」

ううん、と首を振りながら、芽衣はどこか嬉しそうだった。
ふ、と顔を上げた鷹文は朋也と目が合った。ゲェーというジェスチャーをやり返される。
ふんっと鼻息でそれにやり返してから、再び手元のプリントに目を戻す。
そのとき、玄関から、来客の訪問を告げるチャイムが鳴り響いた。
体を起こそうとする朋也を制して、智代が立ち上がり、玄関へ出て行った。

「ああ、こんにちは。その、朋也は今少し休んでいるのですが―――」
 
―――――――――――
 
-to be Continued-

誰か、イチゴかきましょうよぅ。機微もボチボチ書くんで。